終わりましたねぇ・・・
ドミニカが優勝ですか。まぁ、全戦勝利ということですから文句なしでしょうね。
でも、やっぱりどのスポーツでも代表戦は面白いですねぇ。まぁ、本気の国が少ないとか色々言われてますが、サッカーのW杯だって最初から今のような権威のある大会じゃなくて始まった頃は随分ごたごたがあったってな話しも聞きますからね。野球は国際的に見ればマイナースポーツですから、これから良い方向に向かっていけば良いんじゃないですかね?
さて、俺も一応は野球に携わった身です。まぁ、プロ野球とは次元が違いますが、草野球よりはちょっぴりレベルの高いところでやってた自負もあるので巷で色々言われているプエルトリコに負けた8回の攻撃について俺なりの考えを書いてみようかな?なんて思い立った訳です。
問題となったダブルスチールですが、作戦的に俺はありだと思います。と言うか「やる」と思ってました。
野球は状況で戦術が変化するスポーツです。と言うことはあのときの状況を考えて見る必要がありますね。
3対0から1点を返して連打で1アウト1,2塁でバッターは4番という状況です。ただし、4番の阿部選手はこの日ここまでノーヒットです。
ここで一番まずいパターンはダブルプレーでチェンジになってしまうことです。反撃のチャンスはそこでなくなります。フォースプレーを無くすには1塁を空ける必要があります。阿部選手の選択が少なくならないように早いカウントのうちにダブルスチールを慣行するというのは、あの状況では当然とも思える作戦だと思う訳です。
仮にダブルスチールが失敗した場合でも2アウト3塁の状況を作れる可能性が高いと思います。このケースの場合1塁ランナーを2塁で刺す可能性の方が高いからですね。
なぜなら、得点差は2点なので3塁にランナーを進めてでも確実に取れる1アウトをセカンドで狙うというのがまずはセオリーです。2塁ランナーは1塁ランナーに比べてリードを大きく取ることが可能です。2塁への牽制はセカンドかショートが自分のポジションから入る必要がありますが、ファーストは1塁ベースに付ききりですからリードの大きさに違いが出ます。そしてダブルスチールの場合は前のランナーがスタートを切った事を確認して後ろのランナーが走ります。すなわち1塁ランナーはリードが小さい上にスタートが遅くなることが多い訳です。だったら間違いなくキャッチャーはセカンドに送球します。
これくらいの事は世界のベスト4の試合ですからベンチも含めて両軍の選手が全員知っていたと思われます。
日本にとってのベストはダブルスチールが成功し、ダブルプレーの無くなった状況で阿部選手のヒットで一気に同点というシナリオです。
ここで日本は当然のようにダブルスチールのサインを出したようですが、そのダブルスチールのサインには附則がありました。「行けるようなら行け」・・・
ダブルスチールでこのような曖昧なサインはないと言う論調を散見しますが、経験者から言わせて貰えば「あります」非常に高度な作戦で俺も高校、大学を通じでこのサインを実戦で見たことはありませんが、練習や机上シミュレーションの中では常にやっているプレーです。
それでも不安ですから俺がやっていたレベルの野球では試合前に後ろの打順の数人と簡単なサインを決めてスタートを切るようにしていたように思います。時にはタイムを取って前のランナーと打ち合わせをするようなこともあります。すなわち仮に俺が2塁ランナーだとして、「行けるときに行け」というサインが出たら、1塁ランナーに対して俺から「次に行くぞ」というサインを出す訳です。これによって1塁ランナーはスタートを少しだけ早くすることが出来ます。
ただ、そこはプロの世界。その取り決めがなくてもお互いのタイミングを合わせてスタートが出来るということなんでしょう。ただ、今回はそれがたまたま失敗しただけのことです。
前述のように非常に高度な作戦なので失敗のリスクは低くありません。ただ、トーナメントで負けたら敗退という終盤に2点差を追いつくということではリスクを背負う価値はある訳です。
結果論で失敗したことをヤイヤイ言うのは簡単です。これは、どんなことでも言えると思います。俺も日本の3連覇は見たかったし、せめてアメリカまで行ったからには決勝戦まで残って欲しいとは思ってました。でも、やるべきことをやって敗戦したんですから相手を称えるべきであり、全力でプレーした選手を責めるべきでもなければ、リスクを犯して勝ちに行ったベンチを責めるべきでもないと思います。
勝負事にタラレバはありませんが、もしあそこで動かずにダブルプレーだとしたら(実際に阿部選手はその後セカンドゴロに倒れてますから可能性はあったということです)阿部選手が戦犯で無策なベンチが批判される訳です。
逆にダブルスチールに成功して阿部選手が同点タイムリーを打てば、ベンチの采配が賞賛され、阿部選手はヒーローに、そしてダブルスチールを成功させた内川、井端の2選手はあうんの呼吸でスチールを決めたと大騒ぎされる訳です。
紙一重なんですよね・・・
比較するのもおこがましいですが、高校時代に似た経験が俺にもあります。と言っても俺はその時にファーストコーチャーボックスに居たんですが・・・
2年生の夏の県大会。相手はその夏の大会で優勝する桐蔭学園。9回まで0対0で9回の裏に掴んだはじめてのチャンス。1アウト満塁。ここで1点入ればサヨナラ勝ちの場面です。
ベンチからのサインは初球スクイズ。コーチャーズボックスに居た俺は1塁と2塁のランナーに出来るだけリードを小さくするように指示を出します。(牽制でアウトになったら大変ですし、1点取ればサヨナラの場面なので1,2塁のランナーは関係ない訳です。)
ただ、最悪の場合フォースプレーなのでダブルプレーがあります。なのでリードは小さめに指示しながらバントした瞬間にゴーを掛けないといけません。
果たしてバッターは空振りし、3塁ランナーが本塁で憤死して延長10回表に勝ち越されて1対0で負けてしまいました。
その試合で最後となる3年の先輩たちはバントを失敗した俺の同級生を責めることはしませんでした。そして、球場の外で「来年は頼むぞ」と言われたあのときをなんとなく思い出しちゃいましたね。
さて、球春到来!4月からはプロ野球で楽しませて貰いましょうよ!